彼が古本屋開業したいと言い出したとき、私は猛反対した。
彼は大人しい普通の会社員。私は結婚後も仕事を続けている普通の主婦。友人の紹介で付き合いだした私たちが結婚したのは、2年前。平凡なりに平和な家庭を築きつつある。
大人しく穏やかな彼は、休日に1人、ゆっくり本を読むのが好きな人。たまに2人で散歩したりもするけれど、一番好きなのは1人で本を読んでいるときだろう。私は百面相しながら、ソファで本を読む彼の姿を見ているのが好きなのだ。
「あなたが好きなのは“本を読むこと”でしょ。古本屋開業なんてあなたには無理よ。接客をしたこともないでしょ」
「そうなんだけど、小さい頃からの夢なんだ。古い本に囲まれて生活したい。3年頑張って目処が立たなければ諦めるから」
いつもあまり強い口調で言わない彼に、そう言切られ私は言葉が出なかった。
紆余曲折をへて、結局私が折れた。彼は古本屋開業のために今忙しい毎日を送っている。でも、そんな姿を見ているとなんだか嬉しくなる。どうやらソファに座る彼よりも、四苦八苦している彼のほうが好きなのかもしれない。そのほうが彼らしいから。
2009年08月11日
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